王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

使用人たちも今は皆、本館を会場に行われている収穫祭へ出払っているようで、別館はほとんどひと気もない。

ランバートの私室は別館の3階にあり、暖炉と安楽椅子、そして豪奢なキングサイズのベッドが置いてある。


もちろん彼の私室は本館にもあるわけで、この部屋は普段からよく使用されるものでもないと思うが、埃がたまっているようなところは見当たらなかった。


ランバートは部屋の灯りを付けると、スタスタと歩いて大きなベッドの向こう側で、中庭に面した窓際に立つ。

エリナは部屋に深く踏み入ることもできずに、入り口の近くに立ち竦んでいた。


(キットのためなら平気だって、思ってたのに)


自分の身を差し出してキットの命が救えるなら、喜んでそうする。

その気持ちは今でも変わらないのに、実際にベッドの側に立つランバートを目にすると、身体が竦んで近付くこともできなかった。


ランバートは褐色の目を細め、ジッと中庭を見下ろしている。

エリナが黙って窓辺に立つ彼を見ていると、庭を見下ろしたまま不敵に笑い、その視線をエリナへ向けた。


「隣へ来い。いいものが見れるぞ」


エリナが息を飲んで覚悟を決め、恐る恐る一歩を踏み出すと、ランバートは呆れたように頬を緩める。
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