王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
喉を焼かれたのか、掠れた情けない声しか出ない。
それでもエリナは泣き濡れた瞳をハッと見開き、ベッドに横たえられたキットの顔を覗き込んだ。
「キット! もう、バカ!」
「バカはお前だろーが」
エリナが火の中に飛び込んだときほど、泣きたい瞬間はなかった。
離れていく背中にもう二度と手が届かないのではないかと思うと、吐き気がするほどの恐怖がこみ上げた。
天井だか壁だか、部屋が崩れ始める中、エリナを捕まえて抱き込むまではよかったのだが、その後はよく覚えていない。
意識を失ったエリナを抱えて、歩いているのか這っているのかもよくわからない状態で部屋を脱出し、そのままフッと気が抜けてしまったのだ。
まだ身体は動かせそうになかったが、とりあえず意識はハッキリした。
泣いてるエリナの隣にいたのが、ランバートだったのが気に食わない。
「キット、大丈夫か? そのまま目を覚まさないんじゃないかって、心配したぞ」
「エリナさんも、どんどん憔悴していくし。でもよかった」
ウィルフレッドとウェンディは顔を見合わせ、それぞれキットに声をかけた。
ランバートも心なしか、ホッとしたような顔を見せる。