王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

ブルーローズを手にした長男はボールドウィン伯爵を名乗り、その邸には立派な青い薔薇の花園があった。

ボールドウィン伯爵家は3つの家の中でもいちばん大きな力をもち、300年の時を経て、兵力も財力も王家を凌駕するほどになる。


そして社交界でもボールドウィン家が王家に取って代わるかもしれないという噂がまことしやかに囁かれるようになった頃、当時王太子であった現・国王のギデオンがボールドウィン家の長女との婚約を発表したのだ。


ボールドウィン家にはふたりの姉妹しかいなかったため、姉が嫁げば家を継げるのは妹だけである。


しかし後に彼女も"産まれてくる子どもに公爵の地位を与える"という約束で、ランス子爵家との結婚を命じられる。

そしてその妹が産んだ息子こそが、ウィルフレッドであった。


結果的にウィルフレッドは産まれながらにして伯爵から公爵へとその身分を上げることとなったが、ボールドウィン家の力は王家に吸収される形で削がれ、他のふたつの家からは「爵位と引き換えに恨みを忘れて王家に平伏した」と罵られることになってしまった。


天然の人タラシで人当たりがよく、その身分の割りには敵の少ないウィルフレッドであったが、正直に言えばコールリッジ家とヴェッカーズ家の人間には苦手意識があるのだ。
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