王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

「宇野ちゃんは恋愛恐怖症だし、稀斗(きいと)に乙女心を聞いてもなあ。いい答えが返ってきたらそれはそれで複雑って言うか……」


季節は冬の入り口で、2LDKのこの部屋にも暖房がかかっているが、弥生は真夏の暑さにうだる犬のように脱力し、相変わらずテーブルに突っ伏している。


稀斗は弥生の弟で、数少ないこの部屋の訪問者のひとりだ。

歳は瑛莉菜よりふたつ上で、大手総合電機メーカーの法人営業部に勤める、兄とは正反対のできた弟らしい。


お互いに弥生を通して話に聞くことは多々あるが、まだ一度も顔を合わせたことはない。


もっとも、稀斗のほうはこの写真を見て、瑛莉菜の顔は知っているのだろうが。

それと、彼女の初恋について。


「はあ……」


瑛莉菜は手の中の写真を見て、こっそりため息をついた。

できることなら、このまま一生稀斗とは顔を合わせたくないような気がする。

居た堪れなさすぎる。
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