王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
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「レディ、私と一曲ご一緒していただけませんか?」
ウィルフレッドが妙な牽制をして行ったこともあり、ホールの隅で黙りこくって誰とも目を合わせないエリナに声をかける者はしばらく現れなかった。
エリナをダンスに誘った男は、がっしりとした体型を仕立てのいい服で包み、威風堂々とした貴族らしい男であった。
ウィルフレッドは長身でスラリとした体型で、貴公子然としたところがある。
例によって目元は仮面で隠されているが、ダークブロンドの髪と厚めの唇に、少し大きいが形のいい鼻がのぞいている。
身分と容姿、そしてそれに見合う自信を漂わせる男は、ウィルフレッドとはまた別の種類の紳士であるように見えた。
歳はウィルフレッドよりはいくつか上だと思うが、自分を養い、守ってくれる相手を探さなければいけないご令嬢たちには、ウィルフレッドより彼の方がタイプだと言う者も少なからずいるかもしれない。
「あ、えーっと……」
しかし、エリナはここへ結婚相手を探しに来たのではない。