王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~
ウィルフレッドはエリナに"本当の恋"の相手を探して欲しいと願っているようだったが、正直それどころではなかった。
そして今、ウィルフレッドをウェンディの元へ行かせたことで、今夜の任務は完全に終了した気分だった。
あとはウィルフレッドがなんとかするだろうし、もうダンスはお腹いっぱいだ。
男性の誘いを上手く断りたいのだが、なにしろ今夜がはじめての舞踏会で、エリナはダンスの誘いを片っ端から受けてきた。
つまり、断り方を知らなかったのだ。
「すみません、今夜はもう……。少し、疲れてしまって」
言い淀んで視線を泳がせると、自分を見下ろす男がフッと笑ったような気がした。
目を上げると、男の顔が思ったより近くにある。
目元が見えないのではっきりとはわからないが、どこかで見た顔のような気がした。
おそらくこの国のどこかの貴族だとは思うが、思い出せない。
ウィルフレッドの邸を訪れたことがあっただろうか……?