王太子殿下の溺愛遊戯~ロマンス小説にトリップしたら、たっぷり愛されました~

運悪く、廊下にひと気はない。

このまま庭へ出るのも危険なような気がしたが、とにかく足を速めるしかなかった。


しかしエリナがいくら歩くスピードを上げても、男の足音は一定の距離を保って後ろをついてくる。


「ランス公爵の企みは大方検討がつく。あのふたつの家が接触する理由など、"禁断の青い果実"以外にはない」


ウィルフレッドがウェンディに近づく理由も、神託に関する事も、他の者には知られてはいけない。

そう思えば思うほど、エリナの肩は強張り、男の言葉に情けないほど反応してしまった。


「それならばお前はなおさら私と踊らなくてはならないと思うぞ」


後ろから伸びてきた手のひらに腕を掴まれ、強引に身体の向きを変えられた。

男のもう片方の腕がすぐに腰に回され、腕の中に閉じ込められる。


「禁断の青い果実の完成には、あとひとつ、ラズベリーが必要だろう?」


エリナのささやかな抵抗は、その言葉で封じ込まれた。


(……どういう、意味……?)
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