神様修行はじめます! 其の四

あたしは必死に身の危険を訴えた。


「セバスチャンさん! 本気で落下しそうです!」


「もうすぐ到着ですので、できればそのままの態勢で少々お待ち下さい」


「いやムリっす! 今! 今すぐ! 今より早く助けて!」


もはや指先だけでツタに引っ掛かってる、根性ゲームな状態のあたしを浄火が上から心配する。


「おい!? 里緒大丈夫か!?」


「全然大丈夫じゃないー! すでにレッドゾーン突入ー!」


「おいお前ら! 何とかしろって!」


「天内君、情けないぞ。頑張りたまえ」


「お嬢様、おしっかりなさいませ」


「って、励ましてどーすんだよ!? それ、なんの助けにも慰めにもなってねーだろ!」


「もー限界! ギブ! ぎぶうぅぅーー!」


と、絶叫しているうちにドサッと背中が地面に着く感触が。


つ、着いた!? ・・・助かったぁぁーー! 


あたしはグダァッと全身を弛緩させて、大の字になって寝ころんでしまった。


うぇぇん、地面だ地面だ! 生きた心地がしなかったよぉ! 


もうあたし絶対、二度とセバスチャンさんには逆らわないって決めた!


・・・それに結局、門川君の態度も、いつもと全然変わらないじゃん。


『信じられない。夢を見てるみたい』 ってホクホク浮かれてたけど・・・


ホントにあれ、夢だったりして。


あたし達って、どこまでも甘々ムードとは無縁なふたりなのね。くすん。

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