神様修行はじめます! 其の四
「絹糸、意識が戻ったんだね! 良かった!」
「なんじゃこの、ずいぶんと鮮度の良いタコの足は。ウツボはどうした?」
「ウツボはとっくに過去の産物だよ! 今の敵は、あのイソギンチャク!」
巨大イソギンチャク本体は、相変わらず悠々としている。
そして浄火の体を突き刺した触手を、これ見よがしにユラユラ大きく揺らした。
あたしは血相変えて悲鳴を上げる。
「な、なにすんのよバカ! 揺らすなぁ!」
腹を貫かれたままの状態で揺すぶられた浄火が、苦悶の声を上げた。
「う、ぐああぁぁーーー!」
「浄火ーーー!」
浄火とあたしの叫びは、続けざまの雷鳴にかき消された。
脳天を震わす轟音と、目が潰れそうな閃光が、砂浜中を縦横無尽に駆け巡る。
耳を押さえるあたしの目の前で、片っ端から触手が雷撃を食らって倒れていった。
次から次へとタコの舞いが一掃される光景は、見ていてスカッと爽快なほど。
お、お見事! さすが弱っても神獣!
「絹糸すごい! でも大丈夫なの!?」
「さすがにまだ、体が全く動かぬわい。だが放っておいては、あの小僧は助からぬ」
浄火は砂の上に放り出され、グッタリと倒れていた。
彼の腹を突き刺す触手が、根っこからブスブスと焼け焦げている。
絹糸がイソギンチャクの本体から引き剥がしてくれたんだ!
「あれが腹に突き刺さったままでは、どうにもならぬわい」
門川君の術でなんとか命は取りとめているけど、それは応急処置でしかない。
あれを腹から引き抜いて、浄火をこっちに連れてこなきゃ!
「分かった! あたしに任せて!」