神様修行はじめます! 其の四
戦う前に、ちゃんと覚悟を決めたはずだったのに。
「小娘!」
「天内君!」
絹糸と門川君の叫び声が、また聞こえる。
催促するようなふたりの声に、あたしは目を閉じたまま唇を噛んだ。
分かってるよ。分かっているんだ。
「小娘!」
「天内君! 聞いているのか!?」
あたしは、自分の役目を果たさなければならない。
門川君を守るという、自分で決めた道を進まなければならない。
あたし自身のちっぽけな感傷なんて、そんなの、戦場ではなんの意味もないんだ。
分かってる! 分かってるんだ!
「小娘!」
「だから、分かってるってば!」
「分かっているなら、さっさと逃げてくれ!」
・・・・・・。
え? 逃げる?
あたしは閉じていた目を開いて、顔を上げた。
「・・・・・・!?」
目の前の光景に頬が引き攣り、息を飲む。
絹糸の雷撃によって、一掃されたはずのイソギンチャクの触手の群れ。
いつの間にかそれが、軒並み元気に復活していた。
砂浜中がまた、延々と続くタコ踊りカーニバル状態!
「こやつらには、再生能力があるのじゃ! 小娘、早うそこから逃げよ!」
言われた通りに逃げようとしたけど、体が動かない。
毒が回って筋肉が痙攣してる。麻痺しているんだ。
声すらもまともに出ずに、悲鳴にならない息を肺から吐き出すばかり。
触手に取り囲まれた状況で、あたしは恐怖に顔を青ざめさせていた。