神様修行はじめます! 其の四

「子独楽ちゃん!」

あたしは、出せる限界の大声を出し、子独楽ちゃんに向かって手を差し伸べた。


そして全力でバンバン砂を叩く。


気付いて! こっち見て子独楽ちゃん!


「だめだよ! その人を殺しちゃ、だめなんだよ!」


信子長老が、子独楽ちゃんに殺されるなんて・・・!


いくらなんでも、そんなのはあんまりだ!


そんなの許されることじゃない! なんとしても、あたしが阻止してみせる!


「その人を放して! 攻撃をやめて!」


形相を変えて必死に訴えるあたしの様子に、子独楽ちゃんがやっと気付いてくれた。


首をブンブン横に振るあたしの姿を、不思議そうな顔で見ている。


「とにかく、その人から離れ・・・ぐぅ!」


無我夢中で叫んだり動いたりしたせいで、また吐き気が襲ってきた。


とても我慢できる状態じゃなくて、背中を震わせながら大量に吐く。


驚いた子独楽ちゃんが、思わず信子長老への締め付けを緩めた。


もはや意識のない長老の体が、人形のようにドサッと崩れ落ちる。


それを見て、あたしはホッとした。


あ、いや、状況的には、とてもホッとできるシーンじゃないんだけど。


でもとりあえず、子独楽ちゃんが攻撃を止めてくれた。


これでなんとか、娘が母親を締め殺すなんて最悪の状況だけは回避された。


安心して一気に脱力したあたしを、子独楽ちゃんは心配そうに見ている。


そして慌てて、スルスルとこっちへ近寄ってきた。


・・・助けてくれるつもりなの?


―― ドスッ!


「・・・・・・!」


あたしの目の前で、子独楽ちゃんの顔と体がビーンッと硬直した。


彼女の横腹から背中にかけて、一本の触手の槍が貫いている。


次の瞬間、緑色の血が触手を染める様にドクッと吹き出した。

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