神様修行はじめます! 其の四

起き上がる力の無いあたしは、腕の力だけで前へ進もうとした。


水泳のバタフライのように両腕を前に突き出し、死にもの狂いで砂を掻く。


(動け! 動け! あたしの体、動けぇ!)


だけど・・・・・・ムダだった。


自分の体の鉛のような重さに、ただ絶望するだけ。


あたしの体は、ほんの僅かも進まなかった。


それだけの動作で、意識が遠のき目の前が暗くなる。


汗で全身が湿って、もがく体中に砂が貼り付いている。


砂ひと粒分の重さにさえ、弱ったあたしの体は耐えられなかった。


「子独楽・・・ちゃん・・・」


自分のあまりの無力さに、絶望して涙が出る。


なにもできない。なにもできない。あたしは、なにもできない。


なんの罪もないのに、これほどまでに苦しめられ続けた子独楽ちゃんを。


人の記憶を失いながらも、それでもあたしを救おうとしてくれた子独楽ちゃんを。


この襲い掛かる悲劇から、守ることもできないなんて!


(嫌だあぁぁぁーーー!)


泣きながら力無く砂を掻くだけのあたしの耳が、空を切る音を捉えた。


まさか・・・!?


首だけ動かし、後ろを振り返ったあたしはゾッとした。


さらに・・・触手が三本、凄まじいスピードで迫ってくる!


トドメを刺すつもりなの!? あれに襲われたら、もう子独楽ちゃんは・・・!


「嫌あぁぁ! やめてーーー!」


ちっぽけなあたしの叫びは届かず、無情に触手は哀れな贄に襲いかかった。


―― ドス! ドス! ドス!


耳を覆う間もなく、これ以上ない残酷な重々しい音が続けざま響く。


そしてあたしの目は、触手が貫く体を見た。


子独楽ちゃんの・・・


娘の体の上に覆い被さった、信子長老の体を。

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