神様修行はじめます! 其の四
いったい、どこにそんな力が残っていたものか。
彼女は、娘を守ろうと奇跡を起こした。
どう考えても動かないはずの体を動かし、我が子を、身を挺して守った。
そして・・・・・・。
死んでいた。
無機質な彼女の目に、もうすでに命の光は無い。
乱れた髪からも、血が抜けて色が変わった皮膚からも。
手からも、足からも、表情からも、なにもかも。
命の気配は、完全に消え失せていた。
触手が、ゆっくりと彼女の体を持ち上げていく。
捕獲された獲物のように、その体は宙でダラリと揺れた。
そして無造作に放り出され、命の抜け殻は、砂の上に投げ捨てられた。
打ち捨てられた・・・哀しい骸。
もう何も見ることのない目も、もう何も伝えることのない口も。
洞穴のように、無意味に、パカリと開いていた。
スルスルと、我に返ったように触手が離れていく。
その先端に緑色の血がベットリと付着しているのを、あたしは見た。
母が起こした奇跡は、そこまでだった。
触手はその身を貫き通し、彼女が命を捨てて守ろうとした娘の体に、到達していた。