泣きたい夜には…~Hitomi~



ピンセットで卵膜をつまんで破ると、中から羊水が流れ出た。


吉村先生が子宮内に手を入れ、胎児を外に出す。


27週の小さな小さな女の赤ちゃん。


紫色の皮膚の色はチアノーゼを起こしている。


まずいな。


全身に緊張が駆け抜ける。


臍帯が切断され、


「浅倉先生、お願いします」


赤ちゃんを手渡され、吉村先生は母体の止血と縫合に入った。


「了解しました」


赤ちゃんを抱きかかえ、助産師に指示をする。


「吸引」


赤ちゃんの口や気管、喉、鼻に残った羊水を吸い出したが、分娩室内に産声が響く様子はない。


呼吸停止。


酸素不足からの新生児仮死。


「酸素投与します!」


焦るな、ひとみ!!!!


落ち着いて!


落ち着くのよ!!!!


「先生、心拍低下しています!!!!」


助産師の緊迫した声が分娩室に響き渡る。


心拍が弱い。


このままでは止まるのも時間の問題だ。



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