泣きたい夜には…~Hitomi~



慎吾は笑みを浮かべ、


「お前、頑張ったな」


労いの言葉に、首を振って、


「まぁ、それが私の仕事ですからね」


なんて言ったら恥ずかしくなって笑顔でごまかした。


今夜こそ話をしなければ……


慎吾をまっすぐ見て、


「慎吾、私……「お前……アメリカに行けよ!」


私の言葉を遮り、慎吾が言った。


「えっ……」


知っていたの?


恐らく私を心配した向井先生が慎吾に何か言ったに違いない。


もう終わり、ってこと……?


「慎吾は、私がいなくなってもいいの?私がアメリカに行くということは……もう一緒にいられないってことなんだよ!!!!」


ダメだ、慎吾の前だと涙が我慢できない。


慎吾は私の両肩に手を置くと、


「俺だって、お前と一緒にいられないのは辛い。でも、俺のために医者としての才能を潰して欲しくないんだよ!!!!」


慎吾だったら何となくそう言うと思っていた。


そして、潔く身を引く。


それが成瀬慎吾だから。



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