泣きたい夜には…~Hitomi~



頭を撫で、髪を梳く。


この手の感触を忘れないでおこう。


そして、必ず慎吾の元に帰ろう。


そう心に誓った。


カーテンの隙間から差し込む朝の光の眩しさに目覚めると、


「…ッ!!!!」


慎吾の腕の中で眠っていた。


昨夜は慎吾の胸の中で泣きながら寝てしまったようだ。


つくづく面倒な女ね、私って……。


時計を見ると、まだ5時を過ぎたところ。


昨夜のお詫びも兼ねて美味しい朝ごはん作ろう。


そう思い、眠っている慎吾を起こさないようにそーっとベッドから出ようとすると、


「うゎっ!」


腕を掴まれ、ベッドに引きずり込まれた。


「おはよう、色気のない声」


慎吾はクールな笑みを浮かべ、ふわりと唇を重ねてくる。


不意打ちのキスにドキドキと胸が高鳴る。



.
< 199 / 286 >

この作品をシェア

pagetop