泣きたい夜には…~Hitomi~



「あぁ、もぅっ!!!!」


ベッドにダイブし、天井を見た。


脳裏に浮かんだ笑顔の慎吾に、


「必ず慎吾の元に帰る。だから待っていて……」


そっと呟いた。


そして、週が明け、金曜日。


私は2年ぶりに祖国の地を踏んだ。


成田空港からリムジンバスに乗り、空港から都内までの距離の長さに、


「もっと羽田を利用すればいいのに」


などとぼやきながらも、車窓から見える2年ぶりの日本の景色を楽しんだ。


道行く人の髪の色が黒い。


郵便ポストが赤い。


道路の標示板が日本語。


当たり前のことなのに、それすらも幸せに思えてしまう。


帰国した喜びに浸るのはここまで。


実家に戻り、とっとと決着をつけてしまおう。


慎吾に会うのはそれからだ。



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