泣きたい夜には…~Hitomi~



実家は病院から徒歩5分ほどのところ。


2年ぶりに実家の門をくぐり、庭を覗いてみると、


可憐な花を咲かせるチューリップとヒヤシンスに心が和む。


まるで私の帰宅を歓迎しているように。


腕時計を見ると、時刻は午後3時を回ったところ。


まだお父さんは仕事中。


さすがに仕事中に乗り込むのは気が引ける。


だから反撃は業務が落ち着いた午後6時に決行することに決めた。


私ひとりでは分が悪い。


なので、お母さんを味方につけて援護射撃をしてもらえるといいんだけれど。


「あら、ひとみ、帰ってたの?」


お母さんが庭に出てきた。


「お母さん、ただいま」


一時に比べて、私への干渉はなくなったけれど、留学中は心配だったようで、頻繁にメールや電話が来ていた。


お母さんは、私の無事な姿を見てホッとしたような表情で、


「お帰りなさい。やっと帰って来てくれたわね、お母さん安心したわ」


そう言うと、優しい笑みを浮かべた。



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