泣きたい夜には…~Hitomi~



お母さんから漂う甘い香りに、胸が躍る。


「もしかして、アップルパイ焼いてくれた?」


お母さんは笑顔で頷くと、


「えぇ、そろそろひとみが帰って来ると思って……焼き上がったばかりだからまだ熱々よ。アイスクリームも買ってあるからトッピングしてお茶にしましょうね」


お母さんの言葉に頷き、家の中に入って行った。


熱々の美味しいアップルパイを堪能し、久しぶりにお母さんとの会話を楽しんでいたけれど、


「ふぁーっ!」


長旅の疲れと時差ボケで眠くなってきた。


今頃フィラデルフィアは深夜。


来週から湘南医大に復帰、早く日本時間に体を戻さないと。


来週から湘南医大に復帰、早く日本時間に体を戻さないと。


「お母さん、ちょっと仮眠とるから、部屋に行くね。それから、夕飯はいいわ。彼と会う約束をしているから」


お母さんのこと、私の帰国祝いと称してご馳走作ろうと張り切っていたに違いない。


でも、今夜は慎吾に会いたいの。



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