泣きたい夜には…~Hitomi~
「ここに着替えと洗面具、これが当面の生活費よ。とにかく逃げなさい!!!!」
厳しい表情でお母さんがやや大きめのボストンバッグと銀行名が入った封筒を私に渡そうとしたが、
「その必要はないわ。私、はっきり断るから」
それでもダメなら、その時はその時。
戦わずして逃げるなんてことはしない。
そんな私にお母さんはにっこり笑みを浮かべて、
「それじゃ支度しましょう!その姿では、相手に付け入る隙を与えてしまうわ。だから、隙のない女に変身しましょうね」
このボサボサ頭とすっぴん顔の方が、相手が逃げそうな気がするけれど。
お母さん、裏読みまでしているとは、さすがだ!!!!
待ち合わせの時間まであと50分。
お母さんに手伝ってもらい、短い時間の中、メイクと髪型を完璧に整えた。
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