泣きたい夜には…~Hitomi~



「これを着ていくといいわ」


お母さんの手にはハンガーに掛けられた真新しいクリーム色のシンプルなデザインのスーツと、


「あなたが帰国したらプレゼントしようと思って買っておいたの」


いつも履いているものよりもちょっと高めのピンクベージュのパンプス、そして、同じ色のバッグ。


着替えている間も、「これを着けていきなさい」なんて、スーツに合うアクセサリーまで出してくるし。


経験はないけれど、このフォーマルなスタイルは……


どう見てもお見合いではないか……?


もしかして、


お父さんとお母さんはグル?


そんな疑念まで湧き上がってきた。


「もう時間がないわ、早く行きなさい」


お母さんに急き立てられ、家を出たが、


「何とかなる!!!!」


そう言い聞かせ、病院へと向かった。



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