フェイント王子たち
「有栖さん」
頭上から声をかけられて、いつの間にかグラスを握り締めてピンク色のカクテルを、見つめながらぶつぶつ言っていた事に気付いて言葉を止め、ゆっくり顔を上げて昭次さんを見る。
「…はい?」
「ちょっと待ってて」
「はい…」
昭次さんは優しい笑顔を残すとカウンターの奥に消えて行った。
「はぁ〜」
何言ってるか、わかんなくって逃げられちゃったかな。落ち着くためにカクテルをもう一口飲む。