Again
楽しく待ち望んでいると、時はあっという間に来るもので、仁は、パリに旅立つ準備をしていた。
仁の雰囲気にあったジェラルミンのようなトランクに荷物を詰めていく。トランクに貼ってあるステッカーが海外渡航の多さを物語っていた。
「仁さん、忘れ物はないですか?」
「仕事の道具さえ忘れなければ、後は何かあっても向こうで買えるから」
「あ、そうね」
大きなトランクをリビングで広げ、中身の確認を二人でする。出張が多い仁は荷物を詰めるも慣れた物で、あっという間にトランクに詰めて行った。
「これ、葵のチケット。向こうで待っているから、気を付けてくるんだぞ」
「はい」
仁から渡された、チケットを見ると、ファーストクラスと記載してあった。
「仁さん!! ファーストクラスって書いてあるわ!」
おもわず、歓喜の声を上げる。
その様子に、仁は目を細めて笑う。
「俺はいつもファーストクラスだ。だから葵もファーストクラスだ」
「どうしよう、緊張しちゃう! 嬉しい、ありがとう! 」
一生踏み入れることはないと思っていたファーストクラスに、搭乗出来る喜びを爆発させる。葵は仁に抱きついてしまった。
「ご、ごめんなさい!」
葵は、瞬時に仁から離れた。だが、葵の腕を掴んで、仁は強く引き寄せた。
「待たせてごめん」
葵は、首を横に振る。葵は、仁に抱きしめられ、目を閉じる。また少し近づいた。葵の気持ちは、仁へと傾いている。旅行を気に、もっと距離が近くなればいい。それは、二人の願いでもある。少し手が触れただけで、ドキッとして、抱き寄せられれば、キュンとなる。それをずっとこの先も続けていきたい。葵のささやかな願いだ。
ゆっくりと離れると、照れを隠すよかのように、今度は、事務的な話を始める。
「葵が到着したら、直接ホテルへ来てくれないか? もしかしたら仕事になってしまう可能性もある。フロントにはキーを渡してくれるように言っておくから、部屋に直接来てくれ。もし居なかったら、俺が戻って来るまで部屋で待っていてくれないか? 悪いね」
「わかりました」
「誰か迎えに行かせることが出来ればいいのだが、最少の人数で行っているから。悪いな。大丈夫か? 出来るか?」
「出来ますよ、大丈夫です。 きっとだけど……仕事を優先にしてください。ホテルの名前を言って、タクシーに乗ればいいんだから」
心配顔の仁に、心配を掛けないようにしっかりしなくてはならない。旅行会社のツアーでもない旅行は、不安があるが、それよりも新婚旅行、仁との時間が、葵の不安を最小限にしている。
「明日は、会社に寄ってから空港に行く。いつも通りの時間に家を出るから」
「はい。分かりました。あ、そろそろ晩御飯の用意をしますね。今日はお鍋にしました」
「わかった」
結婚当初からしてみれば、こんなに和やかに会話が出来ているなんて、あの時は想像も出来なかった。さっぱりと割り切ることで、平静を保っていたことは間違いない。多くは望まない。そう決めた結婚だったのだから平気だと言い聞かせた。それでも、暮らしを共にしていれば情も移る。少なくとも葵はこうした平凡な時を過せることが嬉しくてならなかった。これもささやかな前進だろう。
葵がキッチンへ立つと、仁はトランクを仕舞い、ソファで経済紙を読みだした。背中で仁の気配がやわらかく感じる。それはきっと二人の間の他人行儀な面が薄れて来ているからだろう。
葵は、仁が好きになっていた。
仁の雰囲気にあったジェラルミンのようなトランクに荷物を詰めていく。トランクに貼ってあるステッカーが海外渡航の多さを物語っていた。
「仁さん、忘れ物はないですか?」
「仕事の道具さえ忘れなければ、後は何かあっても向こうで買えるから」
「あ、そうね」
大きなトランクをリビングで広げ、中身の確認を二人でする。出張が多い仁は荷物を詰めるも慣れた物で、あっという間にトランクに詰めて行った。
「これ、葵のチケット。向こうで待っているから、気を付けてくるんだぞ」
「はい」
仁から渡された、チケットを見ると、ファーストクラスと記載してあった。
「仁さん!! ファーストクラスって書いてあるわ!」
おもわず、歓喜の声を上げる。
その様子に、仁は目を細めて笑う。
「俺はいつもファーストクラスだ。だから葵もファーストクラスだ」
「どうしよう、緊張しちゃう! 嬉しい、ありがとう! 」
一生踏み入れることはないと思っていたファーストクラスに、搭乗出来る喜びを爆発させる。葵は仁に抱きついてしまった。
「ご、ごめんなさい!」
葵は、瞬時に仁から離れた。だが、葵の腕を掴んで、仁は強く引き寄せた。
「待たせてごめん」
葵は、首を横に振る。葵は、仁に抱きしめられ、目を閉じる。また少し近づいた。葵の気持ちは、仁へと傾いている。旅行を気に、もっと距離が近くなればいい。それは、二人の願いでもある。少し手が触れただけで、ドキッとして、抱き寄せられれば、キュンとなる。それをずっとこの先も続けていきたい。葵のささやかな願いだ。
ゆっくりと離れると、照れを隠すよかのように、今度は、事務的な話を始める。
「葵が到着したら、直接ホテルへ来てくれないか? もしかしたら仕事になってしまう可能性もある。フロントにはキーを渡してくれるように言っておくから、部屋に直接来てくれ。もし居なかったら、俺が戻って来るまで部屋で待っていてくれないか? 悪いね」
「わかりました」
「誰か迎えに行かせることが出来ればいいのだが、最少の人数で行っているから。悪いな。大丈夫か? 出来るか?」
「出来ますよ、大丈夫です。 きっとだけど……仕事を優先にしてください。ホテルの名前を言って、タクシーに乗ればいいんだから」
心配顔の仁に、心配を掛けないようにしっかりしなくてはならない。旅行会社のツアーでもない旅行は、不安があるが、それよりも新婚旅行、仁との時間が、葵の不安を最小限にしている。
「明日は、会社に寄ってから空港に行く。いつも通りの時間に家を出るから」
「はい。分かりました。あ、そろそろ晩御飯の用意をしますね。今日はお鍋にしました」
「わかった」
結婚当初からしてみれば、こんなに和やかに会話が出来ているなんて、あの時は想像も出来なかった。さっぱりと割り切ることで、平静を保っていたことは間違いない。多くは望まない。そう決めた結婚だったのだから平気だと言い聞かせた。それでも、暮らしを共にしていれば情も移る。少なくとも葵はこうした平凡な時を過せることが嬉しくてならなかった。これもささやかな前進だろう。
葵がキッチンへ立つと、仁はトランクを仕舞い、ソファで経済紙を読みだした。背中で仁の気配がやわらかく感じる。それはきっと二人の間の他人行儀な面が薄れて来ているからだろう。
葵は、仁が好きになっていた。