社内恋愛なんて
守に当たったって、どうしようもないことは分かっている。


泣き叫んだって、慰めてほしい相手に傷つけられたんだから、気持ちの落ちつけようがない。


暴言を吐いて傷つけても、自分の暴言に更に傷つくことは目に見えていた。


だからもう、とにかく一人にしてほしかった。


「お願いだから、もう帰って」


 私は下を向いて、守の顔を見ないようにして言った。


声が少し震えていた。


今にも泣き出しそうになるのを必死に堪える。


泣いたらもう、止まらなくなりそうだった。


「でも……」


 守はなおも食い下がる。


「これ以上、嫌いにさせないで」


 守は、はっとして言葉を飲んだ。


そして悔しそうに唇を噛みしめる。


「……嫌い、か」


 呟くように吐いた言葉の重みに胸がずしんと重くなる。


嫌いとは言ったけど、ほんの少し前まであんなに大好きだったのに、すぐに嫌いになんてなれるわけがない。


でも、前のように大好きとも思えない。


 平手打ちしてやりたいくらい憎らしくて、目の前で大泣きして困らせてやりたい。


私がどんなに傷付いたか、ほんの少しでも伝わればいい。
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