社内恋愛なんて
一日、一日が過ぎていく度に、もう部長は私のことを好きではなくなったかもしれない。


心変わりしてしまったかもしれない、と不安に駆られた。


部長がずっと私のことを好きでいてくれる保証なんてないんだ。


恋愛はタイミングが重要、なんてよく聞く台詞。


だとしたら、タイミングを逃してしまっている私は、部長とは縁がなかったのかもしれないなんて、またネガティブなことを思ってしまう。


　ああ、もう、こんな性格、本当嫌だ。


瀬戸内さんみたいになれたらいいのに。


はっきり自分の意見が言えて、自分の気持ちに素直になれる、そんな女性になりたいのに。


現実と理想はほど遠い。


　今日は久しぶりに遅くまで残業していた。


オフィスにはほとんど人が残っていなかった。


残っている人の中に部長がいた。


タイミングよく同じ時間に終わって、一緒に帰れないかな、なんて都合のいい展開を待っている自分がいる。


でも、今日は晴れ。


部長に送ってもらう口実はない。


自分にとって都合のいい展開が、二回も三回も降って湧くわけはないのだ。


タイミングは自分で作らなければいけない。


分かっているのに、上手い考えが浮かばない。
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