社内恋愛なんて
「知らない! 初めて聞いた! 何があったの!?」


 胸が途端にドクドクと大きく鳴っていた。


事件か、事故か、トラブルか、嫌な想像だけが頭をぐるぐる回っている。


「えぇっと……」


 後輩の女の子はとても言いにくそうに目を泳がせていた。


私は、女の子を一心に見つめ、早く教えてと圧力をかける。


 その時、電話が鳴って女の子はこれ幸いと言わんばかりに受話器を取った。


 もう、なんでこんな時にっ! と電話を掛けてきた相手を恨みたくなる。


早く電話よ終われ~と願いを込めながら待っていたけれど、なかなか終わりそうにない。


ずっと待っていられるほど暇ではないので、気にはなりつつも仕事に集中することにした。


 朝はまず、瀬戸内さんに今日の仕事の流れを説明しなければいけない。


受付の女の子たちに渡す書類を集めて、新卒採用を行っているフロアへと急いだ。


 会場に着くと、瀬戸内さんが私がやってくるのを見つけて手を振ってきた。


他の女の子も、やけにニコニコしているので、少し不気味なほどだった。


今日は一体、何なのだろう。
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