社内恋愛なんて
「みあ! みあ!」


 守から二回も名前を呼ばれて、我に返る。


しまった、完全に一人の世界に入ってた。


「ああ、ごめん」


「どうした? さっきもぼーっとしてたし。悩みごとでもあるのか?」


 心配そうに顔を覗き込まれて、慌てて笑顔を作って手を横に振る。


「ううん、ちょっと寝不足なだけ。悩みなんてあるわけないじゃん」


 守は口を真一文字に結んで、じっと私の顔を見つめた。


「なに、そんな真面目な顔して。守らしくない」


「……みあは、いつも一人で抱え込むから心配なんだよ。

悩みごとなんかないって言っていつもにこにこ笑ってるけど、人一倍傷付きやすくて悩むタイプだって知ってるから」


 胸が大きくドクンと鳴った。


 これだから嫌なんだ、元彼ってやつは。


私のことを知りすぎてるから。


気を張っている時に、そんなこと言われたら泣きたくなる。
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