社内恋愛なんて
「ううん、何でもない。本当に大丈夫だから心配しないで」
「でも……」
「今日の夜楽しみにしてるね! じゃあ私、仕事に戻らないと」
言いかけた守の言葉をかき消すようにして、早口で言った。
笑顔を作って、逃げるように自分のデスクに戻る。
まだシュレッターは終わっていなかったけれど、今すぐ終わらせなければいけないものじゃないし。
守が自分の部署に戻っていってからやればいい。
それよりも、今は開いた傷口がこれ以上大きくならないように自分を守る必要がある。
逃げることも、大事。
これも、辛かった三年の間に学んだこと。
守は口を閉じて下を向きながらオフィスから出て行った。
私以外の人には分からないだろうけれど、守が落ち込んでいるということが背中を見るだけで分かる。
だって、三年半も付き合っていたんだから。
だからきっと、守も私の作り笑顔が分かったんだろう。
分かってほしいとも思わないし、分かりたいとも思わないのに、分かってしまう。
だから嫌なんだ、社内恋愛ってやつは。
忘れたくても忘れさせてくれないから。
「でも……」
「今日の夜楽しみにしてるね! じゃあ私、仕事に戻らないと」
言いかけた守の言葉をかき消すようにして、早口で言った。
笑顔を作って、逃げるように自分のデスクに戻る。
まだシュレッターは終わっていなかったけれど、今すぐ終わらせなければいけないものじゃないし。
守が自分の部署に戻っていってからやればいい。
それよりも、今は開いた傷口がこれ以上大きくならないように自分を守る必要がある。
逃げることも、大事。
これも、辛かった三年の間に学んだこと。
守は口を閉じて下を向きながらオフィスから出て行った。
私以外の人には分からないだろうけれど、守が落ち込んでいるということが背中を見るだけで分かる。
だって、三年半も付き合っていたんだから。
だからきっと、守も私の作り笑顔が分かったんだろう。
分かってほしいとも思わないし、分かりたいとも思わないのに、分かってしまう。
だから嫌なんだ、社内恋愛ってやつは。
忘れたくても忘れさせてくれないから。