社内恋愛なんて
「届かないけど……いいの、脚立持ってくるから」


 そっけなく答える。


守の助けはできるだけ借りたくない。


「脚立持ってきたとしても、いちいち昇り降りしたりで大変だろ。手伝うよ」


「いい、大丈夫」


 守と距離を置きたがっていることがあからさまに分かるように言った。


これがもし、守じゃなかったら手伝ってもらっていたかもしれない。


「そんな警戒すんなって。もう、みあの邪魔はしないから」


 邪魔をしない? 


どういう意味だろうと思って、そっぽ向けていた顔を守の方に移すと、守は寂しそうな顔で、微笑みのような苦笑いのような何とも形容しがたい複雑な笑みを浮かべていた。


「この間は、みあが幸せになろうとしてるのに余計なこと言ってごめん。

俺なりに色々考えて、みあを諦める決心がついた」


 守からは哀愁がただよっていて、そうか元気がないように見えたのはこのせいだったんだと分かった。
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