社内恋愛なんて
「もうこれ置いたら最後だから!」


 どんっと分厚い本の束を一気に押し付けてやった。


守は何も言わずにそれを置いた。


「うん、終わり!

手伝ってくれてありがとう、それじゃあね、バイバイ!」


 さっさと行ってくれと願いを込めて言った。


それは伝わったようで、守は「ごめん」と呟くように一声残して出て行った。


 ふう、と大きなため息が出る。


私は守のどこが好きだったんだろう。


もうそれすらも思い出せない。


あのまま結婚してたら、きっと大変なことになってた。


良かった、結婚する前に本性知れて。


すっごい意気消沈していたけど、どうでもいい。


もう、どうでもいいわ、あんな奴!


 今まで守に振り回されて、傷つけられて落ち込んでいた時間が馬鹿みたいに思えてきた。


あんな奴のために悩む時間がもったいない。


 あれ? もしかして私、吹っ切れてる? 


ふと、考え方が変わっている自分に気が付いた。


ずっと胸につかえてた靄が消えてるような気がする。


それになんか、強くなった気もする。


傷付いて、立ち直って、吹っ切れて、私、気が付いたら強くなってた。


守に自分の気持ちはっきり伝えられるようになってた。


どうでもいいわって思えるくらい、強くなった!
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