社内恋愛なんて
本当は予定なんてない。


部長はポーカーフェイスだったけれど、少し戸惑っている様子が伝わってきた。


たぶん、私の意図を探っているのだろう。


いいのだろうかという迷いが感じられた。


部長は少し考えるように黙って、そして口を開いた。


「……泊まっていくか?」


 胸が大きくドキンと高鳴った。


直球の言葉に、早鐘のように心臓が鳴り響く。


「……部長が、良ければ」


 俯いて、小さな声で言った。


恥ずかしくて顔が上げられない。


「大歓迎」


 部長の言葉に、ぷっと笑ってしまった。


弾んだ声の響きから、嬉しさが伝わってきて、勇気を出して言って良かったなと思う。


 マンション前に着き、車を降りる。


いつもは少し物足りなくて、でも怖い気持ちもあって、もやもやとした思いで部長にさよならしていたけれど、今日は清々しい気持ちで手を振れた。


部長も、いつもよりも晴れやかな笑顔に見えた。


 週末、私は部長の家に泊まる。


今からドキドキが止まらない。


でも、待ち遠しいくらい楽しみだった。
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