社内恋愛なんて
「いらっしゃいませ」


 受付女子が綺麗なお辞儀を見せる。


社長の来客がもう来たようだ。


ずっとここにいるのも不審に思われそうなので、私は部署に戻ることにした。


 パソコンをしながらも、誠一郎さんと守のことが気になって集中できなかった。


チラチラと時計を見ながら、もうお客さんは帰っただろうか、どうなったんだろうかと考えてしまって落ち着かない。


一時間半が経過した頃、待ちきれなくて受付に電話した。


「お疲れ様です。湯浅です。あの怒っていたお客様、どうなりました?

まだ帰ってはいないですよね」


「お疲れ様です。こちらが驚くほど静かですよ。

帰ったら湯浅さんに電話しましょうか?」


「そうですね、はい、すみませんがお願いします」


 とても気になってしまっているのが伝わったのか、受付の女の子は上品に笑いながら「かしこまりました」と言った。


それでは失礼しますと電話を切ろうとした時、受付の女の子が「ちょっと待ってください!」と電話を切るのを制した。


「今、終わったようです。部屋から出てきました」
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