社内恋愛なんて
顔はとろんとしていて、目は虚ろだ。


そして彼女の小さな可愛らしい口からは、絶え間なく高い声が漏れている。


 下着をずらし、直接触ると、そこはもうすっかり準備が整っていた。


指を侵入させると、熱く濡れたそこは、底なし沼のように自然に俺の指を導いていく。


奥に入れ、指先を動かすと彼女の声が一際大きくわなないた。


 震えているような声に、俺はハッとして顔を上げた。


すると、彼女は先程までの表情とはうって変わって、怯えたように泣いていた。


「どうした?」


 指を抜き、彼女の顔がよく見えるように顔を近付ける。


「ごめ…なさい……」


 両手を口に当て、抑えきれなくなったのか激しく泣き始めた。


「俺の方こそすまない。無理やり……こんな……」


 目を伏せて、反省した。


やっぱり、するべきではなかったのだ、こんなこと。


彼女も熱くなっているから、てっきり同じ気持ちだと思っていた。


でも、俺は何一つ確認していなかった。


 深く落ち込む俺に、彼女は泣きながら首を振った。
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