毒舌紳士に攻略されて
本当に小さな反撃だ。
でもそれだけでこれだけの効果が得られたのなら、万々歳だ。

水道の蛇口を閉じ、手を拭く。

琴美もカップを拭き終わったようでふたりで食器棚に全てのカップを閉まった。

「案外私が心配する問題じゃなかったかもね。めぐみってば意外に逞しいようだし」

「逞しいっていうかな?些細な反撃だし。でもこれだけで問題解決ならいいんだけど」

「してこないってことは終了なんじゃないの?それにもう年末だしね。先輩達も忙しいんじゃない?仕事もプライベートも」

そうかもしれない。
今の時期仕事はもちろん忙しいが、十二月には一年の中でビックイベントでもある、クリスマスが控えているのだから。
よく社内でも部署の壁を越えて、頻繁に飲み会と称した合コンが開催されているようだし。
先輩達も私のことよりそっちの方が忙しいのかもしれない。

「年末年始に入って出勤したら噂なんて全部消えているといいんだけどな」

「えーめぐみは本当にそれでいいの?」

総務部に戻る途中漏れてしまった言葉に、やけに琴美は突っ込んできた。
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