毒舌紳士に攻略されて
皆が皆、平等で同じだったらきっと互いに惹かれ合うことはないと思うし。

「お母さん、はしゃいでたなぁ」

帰宅すると一瞬残念そうな顔をされたものの、夕食中も家族で団らん中も終始お父さんに、坂井君の話をしていたくらいだ。
お父さんはちょっぴり微妙な顔をしていたけど。

でも親にしてみれば、坂井君は文句なしなんだろうな。
以前坂井君が自分で自分のことを『お得物件』などと言っていたけれど、お母さんにしてみればお得どころか、超優良物件なのだろうな。

坂井君の両親といい、うちの両親といい……。
もし……もしも仮に坂井君と結婚するってなったとしても、なんの問題も起こらずに済むんだろうな。

「いやいやいや!仮にしても、こんなこと考えるのおかしいから!」

あり得ない思考回路に、起き上がりブンブンと首を横に振ってしまった。

そうだよ、結婚とかあり得ないよ。
結婚の前に恋愛じゃない。一昔のような顔も知らずに結婚などという時代ではない。
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