毒舌紳士に攻略されて
「もうけっこうみんな集まっているの？」

なんとなく聞いてみたものの、なぜか幹事の子は「あ―……うん」と言いながら目を泳がせ言葉を濁した。
明らかに様子がおかしい。琴美の同じように感じたようで、問いかけた。

「え、なにどうしたの？なんかあった？」

「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

言葉を濁し続ける幹事に、琴美と顔を見合わせてしまう。

一体なにがあったというのだろうか？

すると幹事の子は、「実は……」と話し始めた。

「事後報告で申し訳ないんだけど、今回の同期会はうちらだけじゃないんだ」

「え？」
「なにそれ、そういうこと？」

見事に琴美と声をハモらせながら、幹事の子に詰め寄る。

「いや、ほら！うちらってほとんどの子が彼氏彼女いないじゃない？クリスマスも近いのに寂しいよねーって話になってさ」

広い会場。幹事の子の様子……。嫌な予感がする。

「思い切って今回の同期会は、他会社の人達との親睦会になりました」
< 209 / 387 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop