毒舌紳士に攻略されて
全部が嘘だったのかな?
私を実家へ連れていってくれて、両親の前で紹介してくれたことも、私のために石川君を殴ったことも、逃げないよう励ましてくれたことも。
全部全部嘘だったの?

ふと高校時代の記憶が蘇る。

もしかしてまたからかわれたのかな?
石川君のように、ただのゲームだった?
珍しく坂井君に媚びない女だったから?だからゲーム感覚で私を落とそうとしていたの?

ずっと坂井君だけは違うと思っていた。
いつも真っ直ぐでストレートで。思ったことを口にする人だと信じて疑わなかった。
なのに、その信用も今では欠片さえ残っていない。

信じられない。
坂井君のことが信じられない。

坂井君が私のことを本当に好きなのか、ちょっぴり不安だった。
けれどそれでも自分の気持ちを伝えたかったし、伝えようと思っていた。

でも私が好きになった坂井君は、平気で嘘ついて騙せるような人じゃない。
石川君のことを殴ったくせに、同じようなことをしている人じゃないよ――……。

悲しいのか、悔しいのか分からない。
だけど涙は止まることなく、次から次へと溢れてくる。
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