毒舌紳士に攻略されて
「坂井君だって認めていたし」

「……そっか」

力が抜けたように琴美はゆっくりと腰を下ろした。

「そりゃ会社も休みたくなるわけだ。……坂井だけは違うって思っていたんでしょ?」

「うん」

坂井君は他の男性とは違うと思っていた。
そういうことは絶対にしないんだろうなって勝手に想像していたし。

「私……坂井君に告白するつもりでいたのに、『大嫌い』って言っちゃったの」

「そりゃ言いたくもなるわね、結局坂井は石川君だっけ?彼と同じようなことをしていたわけなんだから」

琴美の言う通りだ。
坂井君がしたことは、石川君がしたこととなんら変わりないのだから。でも――……。

「でもね、私……分からなくて」

「なにが?」

「坂井君がどうしてあんなことをしたのかが。……やっぱりただのゲームだったのかな?私のことなんて、最初から好きじゃなかったのかな?……全てが嘘だったのかな?」

坂井君は最後に『ごめん』と言った。
その言葉の真意はなんだろう。なにに対しての“ごめん”だったのかな?
< 267 / 387 >

この作品をシェア

pagetop