毒舌紳士に攻略されて
「ずっと好きだった。……好きで堪らなかったっ」

その瞬間、力いっぱい抱きしめられると同時に胸も締め付けられる。

ずっと聞きたかった。坂井君の気持ちをちゃんと言葉にして欲しかった。
「好き」ってたった一言が、ずっと聞きたくて堪らなかった……。

初めての『好き』って言葉に、涙が溢れ出す。

坂井君が初めて好きになった人じゃない。
過去に好きになった人がいる。すごく好きだった。
でも、坂井君に対する気持ちとは比べ物にならない。好きすぎて泣けてくる。

溢れる涙は止まることなく、つい鼻を啜ってしまった。

「佐藤……?」

鼻を啜る声に急に身体を勢いよく離されると、坂井君は私を見てギョッとした。

「はっ?なんで泣いているんだよ」

「だって……!」

嬉しいから。坂井君と同じ気持ちなのが嬉しい。
坂井君が好きすぎて涙が出てくる。

「泣くなよ」

そう言いながら乱暴に裾で拭かれるものの、涙は止まってくれそうにない。

「好き……」

言葉にして吐き出さないと、このままずっと涙が止まってくれなさそうだ。
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