毒舌紳士に攻略されて
「大丈夫だったか?」

「うん、平気」

心配そうに見つめてくる坂井君に、明るく答える。

「悪かったな、母ちゃんうるさくて」

申し訳なさそうに言いながら、私が座るソファーの隣に腰を下ろすと、スプリングが軋む音がした。

「ううん、本当に大丈夫だから」

あれから坂井君の実家にお邪魔させてもらうと、お母さんとお父さんからは熱烈歓迎をうけてしまった。
手料理を振る舞われ、お父さんにはお酒をすすめられ。
そしてずっと話し掛けられっぱなし。
嬉しい反面、正直気疲れしてしまった。だって相手は坂井君のお父さんとお母さんなわけだし。緊張しないわけがない。

そんな私に気付いてくれた坂井君がこうして部屋に連れ出してくれたのだ。
一気に緊張感から解放されたものの、今はまた違った緊張感に襲われようとしている。
だって急に坂井君と近いし。

二人掛けのソファーの上では、どうしてもお互いの肩と肩が触れてしまう。
< 341 / 387 >

この作品をシェア

pagetop