毒舌紳士に攻略されて
最近これほどまでに近づいていなかったからかな?
こんなにも緊張してしまうのは。……いや、それともう一つ理由がある。
だってどうしても思い出してしまうもの。

坂井君と両想いになれた日のことを――……。

そう思うと急激に緊張してきてしまい、どこに視線を向けたらいいのか分からなくなる。

だけどどうやらこんなに意識していたのは私だけだったようで、坂井君は急に立ち上がり机の方へと行ってしまった。

その瞬間、ホッとしたような寂しいような……。複雑な心境になる。

やだな私。
坂井君とは気持ちが通じ合えただけで幸せ!とか言っておきながら、こうやって二人っきりになると、どこかで期待してしまっている自分がいる。

自己嫌悪に陥っていると、いつの間にか坂井君が戻ってきてまたさっきと同じように、私の隣に腰を下ろすと、ある物を差し出してきた。
< 342 / 387 >

この作品をシェア

pagetop