毒舌紳士に攻略されて
あからさまに嫌な顔をしているというのに、親父は怯むことなく話を続ける。

「その様子だとまだ買った指輪、めぐみちゃんに渡せてねぇんだろ?」

「えっ!なにそれ!元気ってばもう指輪買ったの!?」

親父の話に驚く母ちゃんだけど、もっと驚いているのは俺の方だ。

「なんで親父が知ってるんだよ!」

驚きのあまり立ち上がり親父を問い詰めるものの、呑気に「落ち着け」とか言っている。

「落ち着いていられるかよ!まさか俺の部屋、勝手に入ったんじゃねぇだろうな?」

立ち上がったまま親父を睨むと、慌てて弁解してきた。

「バカ野郎!さすがにそんなことするわけねぇだろ?……たまたま見かけたんだよ。元気が店先で真剣に指輪を選ぶ姿を」

「……マジかよ」

最悪だ。
よりにもよってあんな姿を親父に見られていたとは。

力が抜け、そのまま椅子に腰を下ろす。

しかもあの日、散々悩んで迷って確か一時間以上店にいたし。まさかずっと見られてはいないにせよ、あの姿を見られたかと思うと、自分の親だからこそ余計に恥ずかしい。
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