毒舌紳士に攻略されて
自分で言うのもどうかと思うけれど、でも最もな話だ。
坂井君は全てが完璧で、仕事もできるしなによりモテる。……でも私は仕事もそこそこだし、容姿だって自信ないし。性格だってずば抜けていいとは言い切れない。

「えー私はめぐみのこと好きだよ?可愛いし、優しいし!」

「ありがとう」

琴美がそう言ってくれるのは、きっと友達目線だから。
異性から見た自分と、同性から見た自分の印象が違うことくらいずっと昔から分かっている。
それは私にだけ言えることではないかもしれない。

「いいと思うけど?坂井が本気なら、文句なしの優良物件だし」

優良物件……か。
確かにあれほどの男性とお近づきになれる可能性など、この先もうないのかもしれない。

「それにめぐみっていつも浮いた話ないじゃない?私としては、めぐみと熱い恋バナしてみたいんだけど」

「恋バナ、か」

入社してから、というか大学時代でさえ恋愛してこなかった。

「それは無理。……だって私、高校生以来恋愛なんてしていないし」

「嘘っ!」

「本当」
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