「幽霊なんて怖くないッ!!」


……冷たいな。 と思ったけれど、でも、仕方のないことなのかもしれない。

八峠さんは『カゲロウの血』を守り、カゲロウを殺そうとしている。

彼が目指しているのはカゲロウの死であり、他人の家のことなど興味も無い。


むしろ、『厄介事が増えそうだ』と思っているに違いない。

……ていうか、顔がもう面倒臭そうだ。




「お前の家が俺たちと同じ状況下に置かれてるとしても、俺たちには関係無いよ。
せいぜい殺されないように生きることだな」

「あぁ大丈夫です、俺は死にませんので」

「……死なない? なんだそれ、不老不死の水でも飲んだってか?」




不老不死の水。 それは実在するけれど、氷雨くんは八峠さんの言葉を受けて『マンガじゃ あるまいし』と言って、ケラケラと笑った。





「俺が死なないのは、俺が強いからですよ」

「……」

「もう何十体も消してるんですよ、凄いっしょ? 俺が死ぬのは世界が終わる時っ!! なんちゃってー」




楽しそうに笑う氷雨くんに、八峠さんは相変わらず面倒臭そうな顔をしてる。

……うん、この人は確かに面倒臭い。




「……お前、どのくらい先まで視えんの?」

「何がです?」

「いや、幽霊が」


「あー、いつも突然 目の前に現れるんでよくわかんないです。 でも余裕で倒すんで問題無いですよっ」

「…… 突然 目の前に、ねぇ……」




……面倒臭そう、というか、呆れ顔だ。

『突然 目の前に』ということは、氷雨くんは幽霊が接近しててもギリギリまで気付いていないということだ。

つまりは、感知出来る範囲が狭いということ。


私でさえ80メートルは視えるし感じ取れるのに、氷雨くんはギリギリまでわからないんだ……。




「お前、よくそれで生きてきたな」

「天才ですからっ」

「……あぁそうかい、じゃあこれからも頑張れよ」


「おじさんも死なないように頑張ってくださいねー」

「誰がおじさんだっつーの」




なんてことを言いながら、八峠さんは私に手を振ったあとに去っていった。


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