「幽霊なんて怖くないッ!!」
……カゲロウが消えた今は みんな平穏に暮らせているけれど、少し前まで『カゲロウの血』は死と隣り合わせの生活だった。
そんな中だからこそ、秋は俺に手紙を残したんだと思う。
隅の方に書かれた日付を見ると……亡くなる3日前に書かれたものらしい。
「じゃあ、僕はそろそろ神社に戻るよ」
「えっ……あ、でもコレ……一緒に見た方が……」
「いや、実はね、家でこっそり読んでから来たんだ。 だから大丈夫」
「あー……そうだったんですか……」
「うん。 でも、よくわからない部分もあったから、そこは今度教えてね」
「はい」
ひらひらと手を振るおじさんに、ベッドの上から深々と頭を下げる。
その後、おじさんが出て行ったドアを少しだけ見つめ……息を吐き出して手紙を開いた。
「……『八峠さんへ。 あなたがこれを読んでいるといういことは、俺はもうこの世には居ないんですね』」
とても綺麗で丁寧な字を読みながら、頭の中には いつかに見た秋の笑顔が浮かんでいた。