「幽霊なんて怖くないッ!!」
「……『みんなのことをよろしくお願いします。 藤堂 秋』」
長いような、短いような、そんな手紙に書かれていたのは俺への『お願い』だった。
家族のこと、神社のこと、杏のこと……アイツが守ろうとしていたものを、全部俺に押しつけていきやがった。
「……くっそ、あの馬鹿。 この本 全部、てめーの私物だろうが」
紙袋の中にあったのは、付箋がびっしりと貼ってある参考書。 神道について書かれた本も入っている。
本の表紙にあるメモ書きには『この本は1番 参考になる』とか『25ページは重要』とか『オススメの写真が載ってる』とか、くだらない
ことまでいっぱい書かれていた。
……生前のアイツが、俺のために遺したんだ。
俺は幽霊と戦うことしか出来ないただの馬鹿なのにさ、それでもアイツは……秋は、全部を俺に預けていったんだ。
「……俺が神社の管理をしたら、神様は出て行っちまうかもしれねーよ?」
そんな風に笑いながら、窓の外の空を見る。
どこまでも青くて、果てしない空。
その空に居るだろう秋に、小さく小さく言葉をかける。
「……頑張ってみるよ。 全部、やってみる」
それが俺の答えであり、俺の進むべき道が決まった瞬間だった。