「幽霊なんて怖くないッ!!」
──『大丈夫ですよ』
ハクが居たら、多分そう言うだろう。
いつもと変わらない笑顔を見せて、根拠が無いのに『絶対 大丈夫です』って言うに決まってる。
「……俺なんかに出来るのかな」
そう呟くと、俺の中に居るハクはまた笑う。
──『自分で決めたんだから、自分で進んでいくしかないですよ』
……そう。 そうなんだよな。
俺が『やる』って決めたんだから、やるしかないんだ。
「……うん。 大丈夫、ちゃんとやる」
期待に応えられるか わかんねーけどさ、でも、頑張るよ。
「ありがとな、ハク」
俺に勇気をくれて、ありがとう。
「八峠さんなら、きっと出来ますよ」
どこからか、そんな風に言う声が聞こえた気がした。
いつもと同じスーツを着て、いつもと同じ濃さのコーヒーを入れ、いつものように笑顔を見せるハク。
そんな姿が目に浮かび、あっという間に消えていく。
アイツは自分のことを『秘書』と言っていたけれど、俺にとってのアイツは、間違いなく親友だった。
「……退院祝いのコーヒー、準備しといてくれ
たら嬉しい。 とびきり甘いやつな」
放った言葉は、返事のないまま空気と混じり合って 消えてしまったけれど。
それでも俺は笑顔を見せ、どこか清々しい気分でベッドへと横になった。