「幽霊なんて怖くないッ!!」
【杏side】
………
……
…
夕方。
私と氷雨くんは買い物を終えて祥太郎さんの家へと向かっていた。
私たちの近くには、もちろんオサキも居る。
ううん、近くというか、氷雨くんの頭の上だ。
どうやらオサキは彼の頭の上が気に入ってしまったらしい。
氷雨くんも氷雨くんで、オサキを追い払うことはしなかったから、今日1日、オサキはほとんど氷雨くんの頭に乗っかっていた。
「なんかさー、俺ら新婚っぽいんじゃね?」
「制服だもん、多分 姉弟に見えるよ」
「アハハ、だよなー。 当然 俺がお兄ちゃんっしょ?」
「私がお姉ちゃんだよっ」
なんていう相変わらずのやり取りの中で、私と氷雨くんは笑う。
知らない人が見たら本当に姉弟のように見えるかもしれないな。
なんて思いながら歩みを進め、祥太郎さんの家に到着だ。
「おー合い鍵ー。 八峠さんと双葉ちゃんはラブラブだねー?」
「そんなんじゃないよっ。 コレはさ、『たまに掃除しといて』って頼まれたから持ってるだけっ」
「でも いい感じなんだろー? ほら、山ん中で手ぇ繋ぎながら寝てたし?」
「うっ……記憶に無いこと言わないでよっ……」
……1ヶ月前の戦いの時、小刀に力を預けた私は、そのまま岩の上で眠りに落ちてしまった。
次に目を覚ました時は自宅のベッドの上だったんだけど、氷雨くんが言うには、岩の上に居た私と祥太郎さんは手を繋いだまま眠っていたらしい。
……確かにあの時、眠る前までは手と手が触れ合っていた。
でもその後のことを言われたって、記憶に無いんだから仕方がない。
けれど氷雨くんはいっつも『手ぇ繋ぎながらー』とニヤニヤしながら言ってくる。
「あの時は たまたまそうなっちゃっただけだよっ」
「でも八峠さん言ってたよ? 『杏のこと、ちゃんとしなきゃなー』って」
「はいっ!? えっ……ちゃんとって、何っ……!?」
「そりゃもちろん、ちゃんと告白するとか、ちゃんとプロポーズするとかじゃない?」
「えぇ!?」
告白っ……ていうかプロポーズ!?
祥太郎さんが、私にっ……!?