「幽霊なんて怖くないッ!!」
「まぁ嘘だけどねっ。 あの八峠さんが『ちゃんとしなきゃ』なんて言うわけないじゃん」
「うっ……」
「ふふっ、顔赤いよー?」
……最悪っ。 氷雨くんに騙されたっ!!
「もぉっ、氷雨くんの馬鹿っ」
「期待した? 期待しちゃった?」
「ほんっと意地悪っ!!」
「でもさー、似たようなこと言ってたよ? 『ちゃんと仕事しなきゃなー』って」
「全然違うしっ」
あぁもう、私の馬鹿っ。
なんでそんな嘘に騙されてるんだっ。
祥太郎さんが私のことを言うわけないってわかってるのにっ。
「だけど、実際どうなの?」
玄関のドアの前で、氷雨くんが真っ直ぐに私を見た。
「双葉ちゃんはさ、八峠さんのこと好きっしょ?」
「……好き、っていうか……一緒に居たいなっては思うよ?」
「俺らみたいに、いい友達ーな感じで?」
「んー……よくわかんない。 友達……よりはもっと近いような、でも遠いような……」
「なんじゃそりゃ。 あぁでも、八峠さんもそんな感じなのかなぁ?
この前 双葉ちゃんとの関係を聞いたらさ、『ソファーの上で添い寝はするけど、ベッドの上では添い寝しないような関係』って言ってたもん」
……氷雨くん、祥太郎さんに私との関係を聞いてたんですか……。
そして祥太郎さんの答えがまた微妙……。
でも、確かにそんな感じかも……?
「アレだね、双葉ちゃんと八峠さんは、入籍はしないけど一つ屋根の下に暮らしていて、ダラダラズルズルと妙な関係が続くタイプだ」
「えー……?」
「恋人のようだけど恋人じゃなくて、でも誰よりも一緒に居たいから一緒に居て、気付いたら未婚のまま50年経ってましたーって なりそう」
あー……どうしよう、容易に想像が出来る。
まさにそんな感じで50年経ってそうだ……。