強がりウサギの不器用な恋
会話から察するに、電話の相手は彼の妹だとか親戚だとか、そういうのではないと思う。
「それは…わかるよ。男にも責任があるのは。
だから、一人で決めるな。
綾乃のお腹には、もう小さな命が宿ってるんだから……」
そんな彼の切なげな声が聞こえてきたところで、私は今度こそそっと事務所の中へ入り、扉を閉めた。
………何、これ。
海藤さんの恋人………
いや、恋人はいないと言っていたから、遊び相手?
そんな微妙な関係の女性が、妊娠したのだろうか。
それで、父親である海藤さんに連絡してきたのだろうか。
自分が今想像したことが現実なのかもしれないと思うと、全身がガタガタと震えだし、指先が冷たくなっていく。